【小説紹介】テミスの剣(著作:中山七里)

小説紹介

皆さんこんにちは!ぽんたくです。

本日は2014年10月に文藝春秋より発売された「テミスの剣」(著作:中山七里)を紹介していきます。
よろしくお願いいたします。

表紙について

書店で手に取った際は限定カバーになっていました。

背表紙には「担当編集社激推し!」と書かれており、期待が高まります。

左側には、怒涛のスピード感、圧倒的なリーダビリティというキャッチコピーが書かれています。
正直こちらのキャッチコピーには興味がそそられましたね。

下部には「中山七里が締め切り間際に、担当編集に依頼したある調査とは?」と書かれており、その「ある調査」の内容というのは要するに本文に関係があるということで、こちらは読み進めて確かめてみましょう。

そして、表紙背景には土砂降りの雨の様子が描かれています。
黄色い文字で書かれたタイトルの右には2cm程の血の染みと思われるものが描かれており、本編のあらすじ通り、土砂降りの中で起きた殺人事件を表していると考えられます。

ちなみに通常版の表紙では、水面の上に一滴の水滴が落ちた瞬間の部分が描かれているというシンプルなものになっています。

タイトル名「テミスの剣」について

タイトルである「テミスの剣」のテミスとは一体何なのか、気になったので調べてみました。

wikipediaによると、

「テミス(古希: Θέμις, Themis)は、ギリシア神話の法・掟の女神である。ヘーシオドスによれば、ウーラノス(天)とガイア(大地)の娘で、ティーターンの一柱である[1][2]。テミスとは古代ギリシア語で「不変なる掟」の意味であり、掟の擬人化である[3]。」

wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/テミス#:~:text=テミス(古希%3A%20Θέμις%2C%20Themis,の擬人化である%E3%80%82)より

とのことです。

本編の序盤でもテミスについて軽く紹介されるパートがあり、右手に剣を、左手には秤を携えた法の女神であることが紹介されています。

またミス像の剣は力を表し、秤は正邪を測る正義を意味しているとのことです。

さらに、テミス像には剣を高く掲げたものと秤を高く掲げたものの2種類が存在するといいます。
そして本編に登場する最高裁のテミス像は剣を掲げていることから、登場人物の一人である裁判長の高円寺静が「正義よりも力を誇示しているという皮肉なのか」と心の中で語る場面があります。

そんなテミス像が物語の鍵を握っているのかにも注目ですね。

あらすじと構成

あらすじ
とある大雨の日の夜、ホテルが並ぶ町中に潜む不動産屋で夫婦が殺害される事件が起きます。

浦和署の若手刑事である主人公渡瀬は、鳴海という取り調べで犯人から自白を吐き出させるためには手段を厭わないスタイルで浦和署でナンバーワンの検挙率を誇る上司と共に犯人を探し出します。

そしてある日、楠木明大という容疑者が2人によって捕らえられます。

渡瀬は内心で薄く彼は無実かも知れないと思いつつも、鳴海による恐喝的な取り調べと、鳴海が発見したという決定的と思われる証拠品により、楠木から自白の証言を引き出します。

結局、楠木は死刑判決を受け収監されることになり、更に獄中で首を括って自害してしまいます。

数年後、ベテランとなった渡瀬はとある強盗殺人の捜査を通して不動産殺人事件との類似点を発見し、真犯人を発見したことから楠木がなんと無実だったことが明らかになります。

終了したはずの不動産屋殺人事件について再び調査を始める渡瀬ですが、上司や浦和署全体から脅迫まがいの圧力受けることになるも、全貌を明らかにするために奮闘し、結末には恐ろしい真実に直面することになります。

構成
本書は全388ページ、5章+エピローグという構成になっています。

物語のメインとなっている5章は以下の題名になっています。
1,冤獄
2,雪冤
3,冤憤
4,冤禍
5,終冤

どれも題名に「冤」の文字が入っており、題名だけ見ても内容を想像することは難しいようにも感じます。

ちなみに、分量としては1章あたり60〜100ページほどあるので、本書を読む際にはある程度のまとまった時間が欲しいところです。

感想 正に圧倒的なリーダビリティ!クライマックスに衝撃を受けること間違いなし!

限定版の表紙に書かれていた「怒涛のスピード感、圧倒的なリーダビリティ」というキャッチコピーに惹かれて買ってみました。

読んだ結果、期待通りのクオリティで大満足でした。

本書は、
・大雨の中で行われた不動産屋での夫婦殺人事件
・捜査からの犯人逮捕(冤罪)
・死刑判決&受刑者の自死
・冤罪の発覚以降、真の事件解決に向かう渡瀬に降り掛かる圧力、脅迫
といった大波乱が終始絶え間無く続きます

主人公である刑事の渡瀬の視点だけでなく、
最高裁判所に判事として務める高円寺の人を裁くことに対する苦悩や、不動産屋殺人事件の真犯人視点のパートもあり、より深く物語の世界に入り込む事ができました。

新しい登場人物が所々で登場するので、中盤以降は少し複雑に感じる事もあるかもしれません。
しかし、とある発言の伏線が回収された時や、事件の全貌が明らかになった時は最高にスッキリしました

人の人生を簡単に変えてしまうことのできる警察、司法の在り方についても考えさせられる1冊です。

最後までお読みいただきありがとうございました!
また次の記事も読んでいただけたら幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました