【小説紹介】愚行録(著作:貫井徳郎)の紹介と感想

愚行録 小説紹介
愚行録

今回は2009年4月17日に東京創元社より出版された、愚行録(著作:貫井徳郎さん)の見どころと感想を紹介します。

本書をまだ読んだ事が無くて少しでも気になるという方は、是非ともこちらの記事を読んで参考にして頂ければと思います。それでは行きましょう。

表紙

筆者が書店で本書を手に取った際、「慟哭」と同じく、表紙は著者の貫井徳郎さんのデビュー30周年記念カバーとなっていました。
真っ白な表紙に銀色の文字でタイトルが書かれており、シンプルなデザインとなっています。

ちなみに、通常の表紙にはボロボロになった家の壁のようなものが描かれています。
これは悲惨な事件の様子を表しているのでしょうか。
また、これは決して綺麗ではない人の心をボロボロの壁で表現しているようにも感じました。

内容と構成

冒頭では、ネグレクトで3歳児を死亡させた母親逮捕の新聞記事から始まります。
そして、田向一家(妻と夫、そして子供2人の計4人)が、突然家族丸ごと惨殺される事件に関するインタビューで物語は進みます。

本編では被害者である田向夫妻の人柄について、近所の人から同級生、会社の同僚などからインタビュー形式で明らかになっていきます。

また、幼少期から虐待を受けて育った謎の女性が、自らの思い出を語るパートが、モノローグと各章の終わりに付随されています。


全部で6章、298ページの構成となっております。
1章あたりのページ数はやや多いと感じたため、読む時は章の途中で途切れないように、一度に30分くらいのまとまった時間が取れるとより楽しめると思います。

見どころ1 被害者の田向夫妻の人柄

各章でインタビューを受けている証言者は、全部で6人います。
(1) 田向一家の近所のおばさん
(2) 田向(妻)のママ友
(3) 田向(夫)の会社の同僚
(4) 田向(妻)の大学時代の友人
(5) 田向(夫)のサークル時代の後輩で元恋人(大学は違う)
(6) (4)の元恋人であり、田向(妻)の大学時代の元恋人

それぞれ異なる関係性と視点から、生前の田向夫妻の人柄が明らかになっていくのですが、
良い部分も悪い部分も躊躇なく曝け出されていて、そのどれもがリアルで生々しく表現されています。
語り手やインタビューに登場する人物や心情に注意して、展開を推理して見てください。

見どころ2 物語冒頭の新聞記事、そして所々に登場する謎の女性の正体

モノローグから各章の終わりに登場する謎の女性。
幼少期から両親から虐待を受けているという劣悪な環境で育ちます。
彼女が唯一信用している人物は彼女の兄で、2人の間には強い絆で結びつけられている事がわかります。


また、彼女は「秘密」を好んでおり、語り口調からも分かる通り、とても不思議な人物です。
そんな彼女の生い立ちが自らの口から語られていきます。

田向一家殺害事件と、度々登場する謎の女性に一体どんな関係があるのか。
謎の女性の語りと、殺害事件のインタビューを注意して読み、考察して見てください。

感想

貫井徳郎さんのヒット作、『慟哭』があまりにも面白かったため、別作品も購入しました。
「慟哭」は紹介記事もあるのでよかったらこちらもご覧ください。

田向夫妻のみならず、インタビューを受けた人から発せられた、人の奥に潜む闇が生々しく表現されており、まさにタイトル通りの内容だと感じました。

やはり最後には衝撃の展開が待ち受けていました。「慟哭」とはまた違ったテイストのミステリー小説。読んで後悔はしないと思います。

また、こちらの作品は2017年に妻夫木聡さん、満島ひかりさん主演で映画化もされているみたいなので、そちらもチェックして観たいと思いました。
予告編、公式サイトも見てみたのですが、音楽がテーマに合っていてめちゃくちゃ怖いです。

映画『愚行録』公式サイト
そこには、悪意も、善意もない。映画『愚行録』公式サイト 2017年2月18日全国公開

最後までお読みいただきありがとうございました!
また次の記事も読んでいただけたら嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました