【小説紹介】可燃物(著作:米澤穂信)のあらすじ、みどころ紹介!

可燃物 小説紹介
可燃物

皆さんこんにちは!ぽんたくです。

今回は2023年7月25日に文藝春秋より発売された「可燃物」(著作:米澤穂信)を読んだので紹介していきます。

全体の構成 短編全5編収録の刑事ものミステリー!

まずはじめに、私は書店で「可燃物」という題名に惹かれて手にとって見たのですが、目次を見てみると全5章で構成されていることが確認できました。

しかし、こちらは章ではなく全5編の短編として構成されており、表題作である「可燃物」も収録されている短編の1つに含まれています。

読者としてはやはり、表題の「可燃物」が気になって読み進めていくのではないでしょうか?私もそうでした。
こちら含めて後ほど各編のあらすじを解説していきます。

本書は合計275ページで、1話40〜60ページ程度で収録されています。
1話あたりのページ数が他の刑事ミステリー小説と比べて少ないため、短時間で刑事ドラマを見るような感覚で物語を楽しむことが出来る1冊です。

表紙についてなのですが、「可燃物」という題名が太字で強調されており、背景には小さくてリアルな炎の一部(?)のようなものが描かれています。

放火の犯人を探すだったり、出火の原因を探るといった物語だと思うのですが、一体どのような展開で進んでいくのか?ということを私は読書前に考えたりしてみました。


各編のあらすじ

本書は全5編で、毎回異なる事件の捜査を行っていきます。

1,崖の下
2,ねむけ
3,命の恩
4,可燃物
5,本物か
それぞれのあらすじを解説していきます。

1,崖の下
群馬県のスキー場で遭難事故が発生。

遭難者の内2人の男性が崖の下で発見されるが、一人は重体(水野)、もう一人(後藤)は死亡してしまいます。

しかし鑑定の結果、死亡した後藤は崖に落下したあとに死亡したことが判明します。

周りには人がいなかったため、当然犯人はそこにいた水野とだと疑われることになりますが、そこには凶器らしきものは見つからないのです。

しかし、帰還した遭難者の証言によると、水野と後藤との間に事件の発端にもなりそうな複雑な関係性が判明していきます。

果たして犯人は水野なのか?そして後藤はなぜ死亡したのか?
葛警部率いる捜査班が捜査に乗り出します。

2,ねむけ
群馬県藤岡市で強盗致傷事件が発生。
葛率いる捜査班が藤岡市に派遣されます。

葛たちは容疑者のリストを洗い出し、3人の有力な容疑者をリストアップしました。
かつてひったくりの常習犯である田熊もその一人です。

ある日突然、真夜中に田熊が交通事故を起こしたという連絡が入りまし。
しかし、逮捕するためには十分な証拠が必要になってくるというのです。

葛班は目撃者を数人探し出し、聞き込み調査を行います。
しかし、深夜の事故にも関わらず、通常の捜査よりも目撃者がスムーズに見つかったり、聞き込み調査でも、全く接点がないはずの証言者の発言が驚くほど一致することに妙な思いを抱いた葛は、調査を更に細かく行っていきます。

果たして田熊を逮捕することはできるのか?
特に、聞き込みでの各証言の妙な一致の謎に対して、葛はどのようにアプローチしていくのか注目です。

3,命の恩
群馬県榛名山麓にある晴れた日のキャンプ場で切断された右上腕が発見されます。

遺体の身元を特定するため、警察は大規模な捜索を行います。

切断された身体の一部が次々と発見されるが、遂に発見された頭部の歯型が決め手となり、遺体の身元が判明します。

被害者の遺族との関係や人間関係が続々と洗い出されていくうちに、ある一人の容疑者が浮上します
その人はなんと、かつて山で遭難したところを被害者助けられたというのです。
果たしてその人が本当に犯人なのか、葛警部班は捜査を進めていきます。


どうして被害者は殺されなければならなかったのか。そして犯人の動機は一体。。。

4,可燃物
群馬県太田市で連続放火事件が発生します。

その火事はいずれもゴミの集積所から発生したものです。

次の犯行が行われる前に、葛率いる捜査班が消防隊とも協力して原因を調査し、犯人特定へと捜査を進めていきますが、ある日を堺に放火事件はピタリと止まってしまいます

中々犯人が見つからず、上司からの圧力もあって緊張した雰囲気の中、葛班は粘り強く近辺のごみ集積所の張り込み調査を行います。

やがて張り込み調査で目撃された人物の追跡が始まり、物語の展開が進んで行きます。

そして結末にはとても信じがたい犯人の犯行動機が明らかに。

5,本物か
群馬県伊勢市のファミリーレストランで立てこもり事件が発生。

葛班は立てこもり事件を対処する特殊係が到着するまで、現場を維持することを命じられます。

ファミリーレストランのスタッフや、食事をしていた客への聞き込み調査で徐々に犯人像や犯行動機と思われる出来事が判明していきます。

立てこもり犯と思われる男は子供連れで、その日は子どもの誕生日だということです。
そんな特別な日にもかかわらず、予めアレルギーを確認したうえで注文したパフェにナッツが入っていたため腹を立てていたという情報も得ます。

しかし、そんな中で立てこもり犯とのコンタクトが上手く取れず、特殊係の到着も中々来ない
緊迫した状況の中、ファミリーレストランの調理スタッフのとある証言がきっかけに、葛はとある推理を展開し、、

感想 短時間で楽しめる!刑事ドラマ好きにおすすめの1冊!

ここまで紹介してきたとおり、本書は群馬県警本部、刑事部捜査第一課の葛(かつら)警部が、町中で起こった犯罪や事件を根気よく、時に大胆な捜査・推理力で解決に導く物語です。
僕の大好きな刑事ものミステリーでした。

葛警部は部下に対して急に少々無茶な要求をするなど、強引なスタイルで捜査を進めることもありますが、んな些細な情報でも決して侮らず、事件との関連を推理して必ず解決するという執念深さに感心させられました。

葛警部のまさかの推理に驚き、そして犯人の犯行動機に驚き、正に驚きの連続でとても楽しめました

冒頭でも言いましたが、1話あたりのページ数が40〜60ページほどなので、気楽に刑事ものドラマを見ているような感覚で物語を楽しめました。
さらに内容には全く隙がなく、読了後の満足度はとても高かったです。

本書の中で印象的だったのは、
毎回食事は菓子パンとカフェオレで済ませる葛警部や、
葛たちが現場に向かう際のシーンの一文で、
宮下が葛に気づかれないようにあくびをかみ殺す。葛はもちろん気づいている」という所では少し笑ってしまいました。

葛警部の捜査シリーズ、他にも読みたいと思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました!
また次の記事も読んでいただけたら幸いです。

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