今回は2020年10月に文藝春秋より発売され、2023年9月10日に文庫化された瀬尾まいこさんの夜明けの全てを紹介します。
表紙と構成
表紙には1つの砂時計が描かれています。
砂時計の中の上には女の人、下には男の人がいます。
このことから、この絵は夜明けまでの時間を砂時計で表しているのでしょうか?それとも、病気と共に日々を過ごすという時の流れを砂時計で表現しているのではないか、そんなことを想像してました。
ページ数は本編270ページ。全20章で構成されています。文庫本の中でも薄めのボリュームだと思います。
内容
PMS(月経前症候群)の女性(藤沢さん)とパニック障害の男性(山添くん)が、自身の症状に苦しむ中で、同じ金属加工会社の中でのふとした出来事から関わりが増えていきます。
2人は恋人では無いですが、似た様な境遇から関係が深まり、アクシデントもある中、新しい事にもチャレンジして行きます。
個人的な感想
全体的に穏やかで柔らかい文章だと感じました。細かな章ごとで藤沢さんパートや山添くんパートが切り替わっており、分かりやすい表現で場面に入り込みやすく気軽に読める、とても読みやすい小説でした。
こちらの小説は登場人物が全員心温かく、症状が出た時のシーンでは悲しい気持ちやドキッとする様な気持ちにもなりました。ですが、会社の人や友人などが、症状とそれにより本人が感じる苦悩を理解して受け入れるところに心温まりました。
また、少しではありますが、PMSやパニック障害に関する理解が深まり、気遣いについても考えるきっかけになったと思います。
最後に1つ、お気に入りの心温まるセリフを紹介させてください。
ぼんやりとした考えが、口にすると具体的になる。
山添くん
漠然としたアイデアも、人と共有すると動き始める。
そして藤沢さんに話すと、本当にそれが出来そうな気がしてくる。
こんな人にオススメ
恋愛小説でも友情小説でもない、心温まる人間ドラマが読みたい人にオススメです。
また、PMS(月経前症候群)やパニック障害の症状やその悩みを少しでも理解したい人にも是非読んで頂きたいです。
もしご興味を持たれたらこの機会に是非読んでみてください。
ちなみに、こちらの小説は2024年2月9日、松村北斗さんと上白石萌音さんの主演による映画が公開されます。
映画についての記事も後日公開予定です。どうぞお楽しみに!
最後までお読みいただきありがとうございました。次の記事も読んでいただけたら嬉しいです。
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