【小説紹介】加藤シゲアキ なれのはての見どころ紹介!

小説紹介

今回は2023年10月25日講談社より発売、直木賞候補にもなった話題作、加藤シゲアキ著「なれのはて」を紹介します。

構成と外観

本編は443ページ、8章(少章を含めると16章)構成のかなりのボリューム。価格も2000円越えと、小説好き以外はファンでも少々手が出しずらそうな印象。

表紙には、壁に黒い絵の具が縦方向に一線、その上に白い絵の具が斜め方向に一線塗られています。本作は1枚の絵がカギのミステリーということで、この黒と白の塗料は果たして何かを表しているのでしょうか。因みに、カバーを外すと、「ISAMU INOMATA」と書かれた絵のケース(?)の様なものが描かれています。
ISAMU INOMATAというのは本編に登場する謎の絵の作者です

大まかなあらすじ

テレビ局の報道部から訳あってイベント事業部に異動した主人公の守谷は、新しく一緒に仕事をすることになった同僚の吾妻と行動を共にする。
ある日、吾妻は祖母が持っている1枚の絵の展覧会を開催するという企画を提案する。しかし展覧会開催の企画を実現する為には、著作権者の合意といった厄介な問題を解決し、保守的で頑固な部長からの承認を得る必要がある。2人は著作権者からの合意を得る為に、絵に書いてある唯一の手がかりである「ISAMU INOMATA」のサインから調査を始める。しかし調査を進めていく内に2人の身に思わぬアクシデントが起きたり、絵に関する驚愕の真実が明らかになって行く…

注目ポイント1 展覧会開催の行方は!?

主人公の同僚、吾妻の祖母が所持する1枚の絵は見るものに不思議な魅力を感じさせる力がある。
展覧会は実現すれば必ず成功するだろうという自信が吾妻にはあるものの、企画として前例がない、収益が見込めそうにない、作者について分かることが少ないといった問題から部長の承認を得ることが中々出来ない。秋田県警との調査中で思わぬアクシデントもある中で、この様な事態を2人が如何にして乗り切るのか注目です

注目ポイント2 絵に書かれたサイン、ISAMU INOMATA に隠された真実

本作は基本的に現代のパートと、絵が描かれた当時(1950年代くらい)のパートが交互になっています。絵が描かれた当時のパートを読み進める毎に、このサインに関する秘密が段々と明らかになっていきます。そして最後には驚くべき真実が?

全体的な感想

今回、加藤シゲアキさんの著書を初めて読ませて頂きました。
帯メッセージで面白そうだと思い手に取ったのですが、思ったよりも大ボリュームで始めは読み切れるか不安でした。秋田弁が登場するシーンでは読むのに少し時間がかかることもありましたが、物語進行のテンポの良さや、謎が少しずつ明らかになっていく展開に、ページをめくる手が終始スムーズに動いていました。
ページ数がとても多い為、これから読む人はドラマの様に8回(全8章だから)に分けて1日1回読むという楽しみ方も良いと思います。
この記事を読んでもしご興味が出て来ましたら、この機会に是非とも読んでみてください。

(最後に)素敵だと思った言葉

ここまでお読みいただきありがとうございました。最後にこの本を読んで素敵だなと思った部分を紹介して終わりにしたいと思います。また次の記事も読んでいただけたら嬉しいです。

赤福の真っ只中において幸福を実感することは、とても難しいことだ。

正しさは振りかざすだけの矛ではない。他者を守るための盾でもある。

知らない場所は不思議な出会いをもたらす。思ってもみない経験が、その後の人生に神秘的な意味を与える。

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