今回は1999年3月19日に東京創元社より出版された、慟哭(著作:貫井徳郎さん)の見どころと感想を紹介します。
本書をまだ読んだ事が無くて少しでも気になるという方は、是非ともこちらの記事を読んで参考にして頂ければと思います。それでは行きましょう。
表紙
筆者が書店で本書を手に取った際、表紙は著者の貫井徳郎さんのデビュー30周年記念カバーとなっていました。
真っ黒な表紙に銀色の文字でタイトルが書かれており、その格好良さに惹かれて手に取ってみました。
ちなみに、通常の表紙には曇り空に木々が写っているものです。物語とどの様に関連するのかは想像がつきません。
内容と構成
警視庁捜査一課長の佐伯は、若くして異例の昇進を果たしたキャリアの課長です。
現場経験を重ねなくとも上の役職に就ける事から、一部の部下からは妬みを抱く者もいます。
そんな彼が指揮を取る連続幼女誘拐事件は中々進展が得られず、マスコミからの注目は事件だけで無く捜査一課長佐伯の下にまで迫っていきます。
幼女連続誘拐事件の犯人は果たして捕まるのか。そして、佐伯は裏でどんな秘密を抱えているのか。
また、同時進行で、娘を亡くして心に穴が空いた「彼」という人物が、街中で宗教勧誘に声をかけられて、そこから少しずつ新興宗教に足を踏み出していくという物語が進行します。
この2つのパートが各章で交互に切り替わり、展開されていきます。
全部で69章、411ページの長編ですが、細かく切り替わる展開に、きっと常に続きが気になることでしょう。
見どころ1 警視庁捜査一課長佐伯の実態
佐伯捜査一課長には上司の娘である奥さんがいますが、どうやら関係が上手くいっていないようです。
更に、小学校にも上がっていない幼い娘がいるにも関わらず、佐伯は滅多に自宅には戻らず、浮気相手のマンションに出入りしています。
この上手くいっているとは到底思えない佐伯の家庭の実態が、思わぬところで事件と関わってくるので、注目してみて下さい。
見どころ2 「彼」の正体と新興宗教との関係
序盤に新興宗教に属する謎の少女から声をかけられた「彼」は、初めは怪しむも興味本意で集会に参加してみます。
そして、かつて娘を失った辛い過去がある彼は、とある新興宗教に運命を感じ、参加を決めます。
そんな「彼」とは一体何者で、目的は何なのか、そして連続幼女誘拐事件とどの様な関係があるのか。注目して読んでみて下さい。
感想
まず初めに、本書が自分が生まれた年に書かれた本だと知ってとても驚きました。
上記でも書きましたが、各章の量が短く、「彼」が新興宗教にのめり込んでいく様子が描かれたパートと、警視庁の佐伯捜査一課長、時には丘本警部補が語り手となって、幼女連続誘拐事件の犯人を追う2つのパートが交互に切り替わっています。
そのため、幼女連続誘拐事件の真相に中々辿り着けなくて個人的に少し飽きそうになっていた時も、別のパートでの新たな展開が程よく進んだりしていたため、常に続きが気になる様な読みやすい章構成になっていると思います。
終盤では、最悪の事態が起こりそうな予感がし、本当に文字通りのハラハラドキドキを感じました。
刑事もの×新興宗教が絡むミステリの、途轍もないインパクトを読んだ皆さんは感じたと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
また次の記事も読んでいただけたら嬉しいです。
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